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最近の特定調停における問題点

特定調停は、特定債務者の経済的再生に役立つ制度となっているが、反面、問題点も多く改善の必要がある。以下は私見もあるが、今後特定調停が全国的により利用されるためには、重要な点であると考えるものである。一部の簡裁では、債権者が簡裁に提出した取引履歴は調停記録ではないとして、謄写を認めないケースがあり、問題といえる。裁判所の閲覧謄写を認める根拠は、民事調停手続規則二三条にある。すなわち、「当事者又は利害関係人は、裁判所書記官に対し、記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本、抄本若しくは事件に関する証明書の交付を求めることができる。

但し、閲覧又は謄写については、記録の保存又は裁判所の執務に差しつかえがあるときは、この限りでない」と、規定する。ほとんどの裁判所では、債務者からの取引履歴の謄写に応じている。一部の簡裁では、謄写請求を特定債務者に勧めて、過払請求ができることについて助言していることもある。このことは債務者の経済的再生が特定調停の目的であり、過払請求はその延長線上であるという考えに立つならば当然である。

ところが、取引履歴を調停委員の手控えとして特定債務者に謄写閲覧させない簡裁もあり、そのような取扱いは不当といえるであろう。なぜなら、取引履歴は特定債務者が、後日、過払請求、過払訴訟を行う場合には必要不可欠な書類である。また、取引履歴は、債務者から債権者に開示請求をすれば当然に開示されるものであり、簡裁が取引履歴の謄写をさせることに差し支えがある理由がないからである。特定調停は、債務者本人の出席のみで進行可能であるが、一部の簡裁では、調停の席上に家族の同席を求め、事実上の返済協力を求めているケースがある。

債務の弁済は、債務者個人の義務であり、保証人でもない家族には当然ながら返済義務はない。万が一、家族を利害関係人に入れて保証人と同一の立場にするような場合には、簡裁の要請を拒否することが必要である。特定調停では調停中立後、調停成立までの利息を付加して調停を成立させていることが多い。一方で、弁護士等が行う任意整理については、弁護士等受任後の利息は付加しない取扱いを慣例化している。よって、特定調停と任意整理では返済金額に大きな差が出ることもあり、このことが弁護士等が任意整理を選択する動機となっている。特定調停においても、利息を付加しない取扱いを全国的に統一する必要がある。